僕にとっての本とは、物語とは
こんにちは、野田村悠加です。
生まれてこの方、有象無象をトータルすると数百冊の本を読んできました。
僕のルーツを捉えるには必須の項目、本。
『デルトラ・クエスト』という児童書ファンタジーから入った僕ですが、時代によって読む本の種類は変わります。
小学生の頃、中学生、高校生、大学生、そして社会人。
それぞれの時代で大好きな本があります。
僕という人間を語るうえで外せない「本」という部分を切り取って、その変遷を辿りながらも、時代別におすすめの本を紹介しようと思います。
始まりはファンタジー冒険譚
「長男には本を読むようになってほしい」
という母親の思いから、一冊の本を手渡されます。
ここから僕の本人生が始まりました。
キラキラした綺麗な表紙だなぁ、ぐらいで、特に読んでみたいとか、興味があるとかありませんでした。
読書体験というのを、教科書以外に初めてやってみたのです。
半分ぐらいまで、よくわかりませんでした。
ただ、半分を越えた辺りからページをめくる手が早まります。
脳内に世界が広がりました。
ゲームボーイカラーやアニメの向こうにある、視覚的な世界ぐらいしか現実以外に知らなかった僕に、初めて文字を世界に変換する力が身についた瞬間でした。
このシリーズは長きに渡って続き、三シリーズ計19冊で大団円を迎えます。
ファンタジー冒険譚だったので、到底現実にはあり得ないような舞台が広がり、起こり得ないようなことが起き、勇気と挑戦にハラハラしながら当時小学生だった僕は読み進めました。
当時好きだったのは、『ダレン・シャン』シリーズ、『デモナータ』シリーズ、『バーティミアス』シリーズ、です。
懐かしい。
特に中学の頃に読んだ『ドラゴンラージャ』シリーズは、とんでもなくハマりました。
めちゃくちゃ大好きなシリーズです。
韓国のイ・ヨンドという方が著者なのですが、その和訳が2005年に日本でも発売されました。
ユーモア溢れる会話やキャラクター、真面目な話から、くすっと笑いが出るほどの面白さ、そして深い深い登場人物たちの哲学。
その考え方にひどく感銘を受けました。
たくさん印象的な言葉を浴びました。
とても素敵なストーリーでした。
そうして、僕の高校生ぐらいまでの期間はファンタジーを中心とした空想世界に終始します。
妄想が好きだったのかもしれません。
見たことのない世界や、聞いたことない言葉、感じたことのない想い、それらがこの世の中で無数に創作されていて、書き手の数だけ世界が広がっている。
空想の世界だからこそ書き出せるその表現に、僕はすっかり虜になっていました。
運命の一冊との出逢い
さて、大学生になると、とうとう児童書を飛び出して文庫本に手が伸び始めます。
いくつか読み始めたところで、大学二回生の頃に自分自身を大きく変えるきっかけの一冊と出逢います。
まるで、自分が過去体験したような日常を、特別な出来事も起こらないのにも関わらず、こんなにも豊かに表現していて、綺麗で、心を揺さぶられる。
児童書ファンタジーとは真逆の、日常や恋愛を描く小説家の中村航さんの作品を、片っ端から読み進めます。
なんでそんなに心がわかるのだろうとか、感じたことのない思いかもしれないけれどどうしてこんなにも共感できるのだろうとか、そんな描写だらけで。
「すごい」を通り越えて「なりたい」と思ったきっかけの人でした。
この人のこの作品があったから、僕は小説を書こう、と決めたのです。
他にも、いろんな傑作を読みました。
当時は大学までの通学に1時間以上かけていたので、その間に読んだりしていると月に3冊ぐらいのペースで読み進めていました。
特にハマったのは「野崎まど」という気鋭の作家さんです。
デビュー作の『アムリタ』は表紙からじゃ想像できない物語の展開が待っています。
大どんでん返しを二回起こすのがこの作家さんのお家芸で、わかっていても毎回驚愕し続ける。
全くタイトルは違うけれど、シリーズ化のように次回作が続く。
とんでもない物語を何作も経験して、最後の締めの本がこちら。
『2』
なんだこのタイトルは、と。
この本を読みたいがためにシリーズを一気に読みました。
この「2」の意味も、そして完全に想像もできない物語を、すべてがつながる超体験を、このシリーズで体感できます。
ちなみに、このSFもめちゃくちゃ面白かったです。
また、オリジナル劇場アニメやTVアニメシリーズの脚本やシリーズ構成を務められていました。
非常に多彩な才能をお持ちの方です。
僕も実は、某イベントで直接お見かけしたことがあるのですが、ちょっと新しい観点のユーモアのある物静かな方でした。
こんなにも世の中にワクワクの種を蒔ける作家という仕事は、面白いだろうなぁ。
好きな小説を通して、そう感じていたのでした。
本は僕の一部となって
こうした本と共に生きてきたので、僕自身を語るうえで外せない項目です。
社会人になってからは勉強したほうがいいだろうなと思って、営業の本や業界の本、さらに視座を上げて自己啓発や今後の人生に関すること、などたくさんのジャンルに手を出します。
ただ、僕は小説人間なのでルーツはすべてそこにあります。
本は、読んで良かった面白かっただけでなく、まるで僕自身の一部になるかのように脳みそのどこかに格納されていきます。
本を読み終わったり、映画を観終わったり、人から感じ取ったあとの物語はどこにいくのでしょうか。
きっと心のどこかに残っていて、知らず識らずのうちに自分に影響を与えているかもしれません。
結局は、物語が心を動かすのです。
と、信じて。
何より自分自身の人生という物語を拡張させ、どこかの誰かの心を動かせる範囲を広げ続けます。